結論:マンションの床は管理規約(遮音等級)×構造(直床/二重床)×生活スタイル(防音・床暖・段差)の三点で最適解が決まります。見た目だけでなく、遮音・断熱・下地・配線まで“見えない品質”を設計に入れることが失敗しないコツです。
最初に確認すべき3つの前提
- 管理規約・使用細則:LL-45/LL-40など床の遮音等級(軽量床衝撃音)の指定、直貼り禁止/二重床推奨などの記載を確認。
- 既存構造:直床(スラブ直)か、二重床(支持脚+捨て貼り)か。スラブ厚や天井高の余裕も把握。
- 暮らしの優先順位:防音>床暖>デザイン>コスト>段差・天井高…のように譲れない条件を順位付け。
遮音等級のキホン(LL値/LH値)
- LL:軽量床衝撃音(スプーン落下・スリッパ音)/LH:重量床衝撃音(子どもの飛び跳ね等)。
- 管理規約で指定されがちなのはLL-45(一般的)やLL-40(厳しめ)。数字が小さいほど性能が高い。
- 注意:仕上げ材の表示LL値は実験室値。実住戸では下地・施工精度・周辺納まりで差が出るため、システムとしての遮音で考える。
工法の選び方:直貼り vs 二重床
直貼り工法(スラブに防音材付き床材を接着)
向いているケース
- 天井高を下げたくない、段差を増やしたくない。
- 管理規約がLL-45程度で、静かな生活スタイル(飛び跳ね少ない)。
メリット
- 薄い構成で天井高キープ/工期短め/コスト控えめ。
留意点
- 配線・配管の更新は難しい。
- 重量音(LH)には効きにくい。小さなお子さまのいる家庭は運用ルール要。
二重床工法(支持脚+捨て貼り+仕上げ)
向いているケース
- 管理規約が高い遮音等級を要求(LL-40など)。
- 配線・配管の更新/増設、床暖房や段差解消など自由度を上げたい。
メリット
- 遮音性能をシステムで確保しやすい/配線・配管の改修が容易/床なり抑制。
留意点
- 床厚UP=天井高が下がる。既存との段差処理(玄関・水回り・建具)を要検討。
- 支持脚のレベル出しと周辺納まり(巾木・開口部)の精度が仕上がりを左右。
床暖房の可否と相性
- 直貼り+電気式:薄型で施工しやすいが、運転コストは高め。
- 二重床+温水式:ランニングが安いが、床厚と配管ルートの検討が必須。
- 仕上げ材の熱抵抗に注意(厚手無垢・カーペットは立ち上がり遅延)。
仕上げ材の比較(使い勝手 × 遮音 × コスト)
複合フローリング(防音直貼りタイプ)
- Pros:遮音下地一体、品揃え豊富、メンテ容易。
- Cons:深い傷は補修痕が残りやすい。
無垢フローリング
- Pros:経年変化の味、リセール訴求力。
- Cons:伸縮・反りの管理が必要、直貼り不可の銘柄も(要緩衝層)。
塩ビタイル(LVT/SPC)
- Pros:耐水・耐傷・コスト良、意匠多彩。
- Cons:踏感が硬め。広面積は目地の熱伸縮管理が必要。
カーペットタイル
- Pros:遮音・保温・安全に優れ、小リペアも簡単。
- Cons:水濡れ・汚れに注意。ダニ対策の清掃計画を。
参考費用・工期(目安)
- 直貼り(防音フローリング):1.2〜1.8万円/㎡、2〜3日(20㎡想定)。
- 二重床+複合フローリング:2.0〜3.2万円/㎡、3〜6日。配線更新・床暖で上振れ。
- 床暖房追加(温水):+1.2〜2.0万円/㎡、機器別途。
※現場条件・資材価格により変動。エレベーター有無・養生距離で搬入費が変わります。
管理規約と承認フローの通し方
- 計画書類:仕上げ仕様、遮音等級の製品データ、施工要領、納まり図。
- 工事掲示・近隣挨拶:騒音・搬入経路・エレベーター養生の計画を掲示。
- 工事時間帯・搬入ルール:管理会社と事前合意。
- 完了報告:写真付きで提出。必要に応じ遮音試験書や施工保証書。
失敗を防ぐチェックリスト
- スラブの不陸(段差)を1mm単位で管理しているか。
- 周辺ディテール:建具クリアランス、巾木高さ、サッシ見切りの納まり図はあるか。
- 遮音材の連続性:柱型・梁型周りで切れていないか(音橋対策)。
- 床なり対策:捨て貼り厚み・釘ピッチ・接着剤の指定通りか。
- 下地含水率:施工前に含水率測定をしているか(特に1F・角部屋)。
よくある質問(FAQ)
Q. LL-45指定ですが、子どもが走り回る音は消せますか?
A. LLは軽量音指標のため、重量音(LH)対策は二重床+運用(ラグ・防振マット・就寝時間ルール)が現実的です。
Q. 直貼りで床暖房は可能?
A. 薄型電気式は施工可のケースが多いですが、消費電力と熱抵抗に留意。温水式は床厚と配管で制約が出やすいです。
Q. 無垢材は管理規約でNGと言われました。
A. 遮音クリアが厳しければ、突板高級フローリングや厚突板で質感を確保する代替策があります。
Q. 将来のメンテを考えるとどちらが有利?
A. 配線更新や間取り変更の柔軟性は二重床が有利。一方でコストと天井高を重視するなら直貼りが現実解です。
まずは無料の現地調査から
- 既存床構成・スラブ不陸・周辺納まりの実測
- 管理規約の要件整理と提案プラン(直貼り/二重床の2案)
- 遮音・床暖・段差・コストのトレードオフ表をご提示
“騒音ストレスのない、長く住める床”を前提に、見た目だけでなく構造・遮音・メンテ性まで一体設計します。お気軽にご相談ください。



