結論:適切なタイミング判断(症状×築年数×素材)と、工法選定(塗装/カバー/葺き替え)で、総コストと雨漏りリスクを最小化できます。足場が必要な工事は同時施工でまとめると、費用と工期を大きく圧縮できます。
1. 劣化サイン早見表(屋根・外壁)
外壁(モルタル/サイディング)
- チョーキング:手に白い粉 → 塗膜劣化のサイン。早期の再塗装で持ち直し可。
- ヘアークラック(0.3mm未満):塗装で充填・補修。
- 構造クラック(0.3mm以上):下地補修+シーリング、場合により部分張替え。
- シーリング痩せ・破断:防水性能低下。打ち替え必須。
- 反り・浮き(窯業サイディング):固定・張替え検討。
屋根(スレート/瓦/金属)
- 色あせ・苔:塗膜劣化。洗浄+塗装で回復可能。
- 割れ・欠け(スレート/瓦):部分補修か葺き替え。
- 釘浮き・ビス緩み(板金部):雨水侵入リスク。棟板金の交換。
- 錆び(金属屋根):軽度はケレン+防錆塗装、進行時はカバー。
2. 工法の違いと向き・不向き
塗装(再塗装)
- 目的:塗膜の防水性・意匠性回復。
- 向き:下地健全、ひび・反りが軽微なケース。
- 不向き:下地劣化が進行、反り・浮き・雨漏りがある。
- ポイント:高圧洗浄→下地補修→下塗り→中塗り→上塗りの工程厳守。外壁はシーリング打ち替え併用。
カバー工法(重ね葺き/重ね張り)
- 目的:既存の上に新しい屋根材/外壁材を重ねて防水・断熱・耐久を底上げ。
- 向き:下地は概ね健全、既存撤去コストを抑えたい、断熱・遮音も改善したい。
- 不向き:下地腐朽・雨漏り原因が不明、重量増が許容できない構造。
- ポイント:通気層の確保、役物部(開口部・換気口)の納まり設計が肝。
葺き替え/張替え(全面交換)
- 目的:下地から全面リニューアル。根本解決。
- 向き:下地腐朽・雨漏り再発・耐震/断熱を抜本改善したい。
- 不向き:費用・工期を最小化したい短期前提。
- ポイント:野地板・防水シート含めてやり替え。屋根は軽量材採用で耐震性向上も。
3. 費用・耐用年数・保証の比較表
条件により上下します。以下は目安レンジです。
| 工法 | 対象 | 概算費用(30坪相当) | 耐用年数の目安 | 主な保証の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 塗装(外壁) | 外壁 | 90〜160万円 | 8〜12年 | 塗膜3〜10年 |
| 塗装(屋根) | 屋根 | 50〜100万円 | 6〜10年 | 塗膜3〜7年 |
| カバー(屋根) | スレート→金属 等 | 120〜220万円 | 20〜30年 | 本体10〜15年、防水10年 |
| カバー(外壁) | サイディング重ね | 150〜280万円 | 20〜30年 | 本体10〜15年、色5〜10年 |
| 葺き替え(屋根) | 既存撤去→新規 | 160〜320万円 | 30年〜 | 本体10〜20年、防水10年 |
| 張替え(外壁) | 既存撤去→新規 | 200〜380万円 | 30年〜 | 本体10〜20年、色10年 |
※ 足場費(20〜40万円)・下地補修・付帯工事で変動。
4. いつやる?メンテ周期の目安
素材別(外壁)
- 窯業サイディング:10〜15年で塗装+シーリング打ち替え。
- モルタル:8〜12年で塗装。クラックは個別補修。
- 金属サイディング:15〜20年で再塗装or一部張替え。
素材別(屋根)
- スレート:8〜12年で再塗装、20年前後でカバー/葺き替え検討。
- 金属:10〜15年で再塗装、腐食進行時はカバー。
- 瓦:棟板金(瓦棒金物)→棟補修。瓦自体は長寿命だが下葺材は20〜30年で更新。
築年数×症状の簡易フロー
- 築10〜15年:チョーキング・シール劣化 → 塗装+打ち替え
- 築15〜25年:反り・浮き・錆・苔再発 → カバーがコスパ良
- 築25年以上:下地劣化・雨漏り懸念 → 葺き替え/張替えで根本解決
5. 雨漏りを防ぐ“弱点部位”のディテール
- 開口部(窓・ドア)まわり:防水テープの連続性、水切り金物の納まり。
- 取り合い部(屋根と外壁、バルコニー、出窓):捨て板金・防水立ち上がりの確保。
- 棟板金・谷樋:下葺材の重ね代と通気層、釘浮き点検。
- シーリング:二面接着・プライマー・厚み(8〜10mm)。
6. 足場を共有して同時にやると得な工事リスト
- 外壁塗装+屋根塗装/カバー(足場共用による20〜40万円削減)
- 雨樋交換・破風板金・板金包み
- バルコニー防水(FRP/ウレタン)
- 換気フード・給湯器排気カバー・配管化粧
- 外部照明・インターホン・表札交換(電気配線も同時に)
7. 見積もり診断のポイント(悪質トラブル回避)
- 工程・塗料グレードが明記(下塗り材の種類・希釈率は特に)
- 付帯工事(シーリング打替えm数、板金交換、樋交換)の数量根拠
- 保証内容(年数・範囲・免責)とアフター点検の有無
- 近隣対応(挨拶・養生・騒音時間帯)
- ドローン/高所カメラによる事前・事後の写真報告
8. 事例(ビフォー→アフターの見せ方フォーマット)
- Before:築年数/素材/症状(チョーキング、クラック、苔、雨漏り)
- Plan:工法(塗装/カバー/葺き替え)、塗料グレード、色番号、役物納まり
- Quality:下地補修内容、シーリング仕様、通気層、防水立ち上がり
- Cost:概算費用、足場共用の有無、工期
- Effect:防水性・断熱体感・外観評価の改善、将来メンテ計画
9. よくある質問(FAQ)
Q. 塗装とカバー、どちらが得ですか?
A. 下地が健全なら塗装が初期費用は安価。再塗装のサイクルを踏まえると、築15〜25年帯ではカバーが生涯コストで有利なことも。
Q. 雨漏りしているが塗装で止まる?
A. NO。雨漏りは防水層・取り合い納まりの問題。原因特定→補修→必要ならカバー/葺き替えが必須です。
Q. 色は何を選ぶべき?
A. 退色が目立ちにくい中明度・中彩度がベター。付帯色(樋・破風)とのコントラストも重要。
Q. 工期はどれくらい?
A. 30坪目安で、外壁塗装10〜14日/屋根塗装5〜7日/屋根カバー7〜10日/葺き替え10〜14日程度。天候で前後します。
10. まずは無料点検・ご相談の流れ
- 現地調査(外壁・屋根・バルコニー・役物の点検、ドローン可)
- 劣化診断レポート(写真・数量・優先度)
- 工法比較の見積(塗装/カバー/葺き替えの3案)
- 配色シミュレーションと近隣対応計画の共有
足場は一度で、効果は長く。 最適なタイミングで、雨漏りリスクを抑えつつ住まいの価値を守りましょう。お問い合わせいただければ、最短即日で概算をご案内します。



