結論:築年数が古くても、屋根・配線・主幹容量の要点を押さえれば、太陽光+蓄電池は十分導入可能。電気代の平準化・停電対策・温暖化ガス削減の三拍子を、“発電(PV)×貯める(Battery)×賢く使う(HEMS)”で実現します。
1. なぜ今「太陽光+蓄電池」か(築古でもやる価値)
- 電気代の高止まり:昼間の自家消費で購入電力量を圧縮、夜は蓄電池でピークシフト。
- レジリエンス(停電対策):災害時に最低限の生活インフラを確保(照明・冷蔵庫・通信・給湯の一部)。
- カーボン削減・健康:IHやエコキュート等の電化と相性が良く、室内空気もクリーンに。
- 築古メリット:屋根葺き替えや外装改修のタイミングなら、足場共用・配線更新で工期短縮&コスト最適化。
2. 導入前チェック:屋根・電気系・法規の要点
屋根(構造・防水)
- 下地強度・野地板:劣化やたわみが無いか。必要に応じて補強・野地板増し張り。
- 屋根材別の金具:瓦(支持瓦・アンカー工法)、スレート(掴み金具/ビス止め)、金属(ハゼ/支持金具)等、メーカー仕様準拠が必須。
- 雨仕舞:貫通部の防水処理と保証範囲を事前確認。
電気系
- 主幹ブレーカー容量(例:30A/40A/50A)。電化が進むなら容量アップを検討。
- 分電盤の空きと系統分け:非常用回路を独立系統で組めるか。
- 接地・アース:規格適合の再確認。
法規・手続き
- 電力会社への申請(系統連系、逆潮流の有無)。
- 地域の景観条例・建築協定、管理組合(マンション)の承認。
- 火災保険・動産/設備特約の適用可否。
3. 構成の基本:PV・パワコン・蓄電池・HEMSの役割
- 太陽光パネル(PV):発電。近年は高効率セル(TOPCon/HJT)が主流。
- パワーコンディショナ(PCS):直流→交流。屋外/屋内、単機or複数の選択。
- 蓄電池:LFP(リン酸鉄)は安全性・寿命のバランス良。容量は5〜15kWhが家庭用の主レンジ。
- HEMS/EMS:発電・消費・蓄電の最適制御。時間帯別料金やデマンドレスポンス(DR)に対応すると経済性が向上。
- 回路方式:
- 特定負荷型:非常時に一部回路のみ給電(冷蔵庫・照明・通信等)。
- 全負荷型:家中へ給電(エアコン等も可)。PCS容量と主幹容量が鍵。
- マイクロインバータ/最適化器:屋根の部分的な影に強く、モジュールごとの監視が可能。
4. マンション/戸建て別の導入パターン
戸建て
- 屋根置きPV+屋外/屋内蓄電池。エコキュート・IH・EV/V2Hとの連携で自家消費率を最大化。
- 屋根が難しい場合はカーポート一体型や外構一体型も選択肢。
マンション(専有部)
- ベランダ・バルコニーは避難経路・手すり強度の観点で制約が多い。可搬小型PV+ポータブル蓄電は可動性が高いが、常設設備扱いとは異なる。
- 共用部設置(屋上)は管理組合の合意形成・配電計画が必須。自家消費型(共用部電力へ)や各戸按分の方式検討。
5. 費用目安と回収の考え方(シミュレーション)
実勢は屋根条件・機器仕様・電気料金プランで大きく変動します。以下は目安レンジ。
- PV 4〜6kW:80〜150万円(屋根形状・金具・足場で上下)
- 家庭用蓄電池 5〜10kWh:80〜200万円(全負荷型・停電自立対応で上振れ)
- HEMS・分電盤改修・主幹アップ等含む一式:+20〜60万円
回収イメージ
- 自家消費率を40→70%に高めると、購入電力量を年2,000〜4,000kWh削減(家庭の使用量により変動)。
- 1kWhあたり30円で試算すると6〜12万円/年の削減。時間帯別料金の最適化やDR参加で+1〜3万円/年の改善余地。
- 雨天続きや季節変動を織り込んでも、8〜12年を目安に実質回収域に入るケースが多い。
6. 停電時の運用(非常用回路と全負荷の違い)
- 特定負荷型:冷蔵庫・照明・通信・電子レンジ・給湯制御など重要家電に限定。容量小さめでも実用的。
- 全負荷型:家中の分電盤へ給電。同時使用を抑える運用ルール(エアコンは1台のみ等)を決めておくと安心。
- ソーラーチャージ:晴天時はPVから充放電を循環でき、長期停電でも持久力が高い。
7. 築古で起きがちな失敗と回避策
- 屋根の劣化を見落とし→ 先に葺き替え/カバー工法で耐久性と防水を確保。
- 配線の経年劣化→ 分電盤・幹線の更新/点検を同時実施。
- 日射遮蔽(影)を過小評価→ 近隣樹木・隣家・アンテナ影を日射シミュレーションで可視化。
- 過大/過小容量の蓄電池→ 1日の使用電力量に対して0.5〜1.5日分を目安に。
- 保証・保険の読み落とし→ 機器保証(10〜15年)、施工保証、雨漏り保証、火災保険特約を確認。
- メンテ計画なし→ 年1回の点検・洗浄と発電監視(アプリ)をルーチン化。
8. 補助金・ローン・PPAの活用ポイント
- 補助金:蓄電池や高効率機器は対象になりやすい。着工前申請が原則、要件(容量・機器性能・施工体制)を事前確認。
- グリーンローン/金利優遇:省エネ改修や再エネ導入で優遇金利が使える場合あり。
- PPA/リース:初期投資ゼロで屋根上発電を賃借する手法。ただし契約年数・中途解約・譲渡時の取扱いは要精査。
※最新の制度・条件は年度で変わるため、国/自治体/電力会社の最新情報と施工会社の申請支援実績を併せて確認してください。
9. 事業者選定チェックリスト
- 屋根・小屋裏まで実踏査し、構造/防水/配線を写真付きで提示
- 日射シミュレーションと自家消費シミュレーションを複数案で提案
- PCS容量・非常用回路(特定/全負荷)の根拠説明
- 影対策(最適化器/マイクロインバータ等)の方針明示
- 保証パッケージ(機器・雨漏り・施工・自然災害)の範囲と年数
- 運用後の監視アプリ設定・省エネコーチングまで面倒を見る
10. よくある質問(FAQ)
Q. 築30年以上でも設置できますか?
A. 可能です。屋根下地の補強と配線更新を同時に行うケースが多く、むしろ外装改修のタイミングが好機です。
Q. どの程度の容量が適切?
A. 目安として、PVは屋根の有効面積×日射、蓄電池は1日の消費電力量の0.7〜1.2倍。停電時重視なら余裕を持たせます。
Q. メンテは大変?
A. パネルは年1回の目視・洗浄、蓄電池はセル状態の点検とファーム更新程度。監視アプリで異常検知が可能です。
Q. 発電した電気は売れますか?
A. 地域・契約により異なります。自家消費優先+余剰売電が一般的。買電単価と売電単価の差を踏まえた制御が肝心です。
まずは無料の現地診断・概算試算
- 屋根点検(ドローン/小屋裏)
- 主幹容量・分電盤の確認
- 日射/影の簡易シミュレーション
- 自家消費率向上プラン(エコキュート・IH・EV連携)
“発電×蓄電×賢く使う”をワンセットで最適化し、電気代と停電リスクに強い住まいへ。築年数に縛られず、今の家を次の時代の性能へアップデートしましょう。
お問い合わせ・お見積もりの流れ
- 住所(市区まで)・築年数・屋根材・過去の改修履歴
- 月別の電気使用量(検針票/アプリのスクショ)
- 希望(停電対策重視/経済性重視/環境重視/全負荷希望 など)
上記をご共有ください。最適容量の提案と概算費用をお返しします。