
1. “在宅の次”を探すリモートワーカーが狙い目
- 2024年末の全国リモートワーク実施率は 21.0 %、都心部では 35 %超 と高水準で横ばい推移。完全在宅に疲れた層が「小規模オフィス」「近場のサテライト」を求め始めています。(alternativework.jp)
- 地方自治体や企業が古民家・空き家をサテライトオフィス化し、自然環境を生かした“ワーケーション+業務拠点”として提供する事例が加速中です。(aozora.life)
2. 成功事例3選

事例 | 物件概要 | 改修費用 | 利用料モデル | 年間収益(粗利) | 成功ポイント |
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神山バレー・サテライトオフィス(徳島県) | 廃工場→延床1,200 ㎡ | 約7,000万円 | 月額席×30・ドロップイン | 約1,800万円 | 地域イベントを併設し稼働率80 %維持 (remotelock.kke.co.jp) |
LIFULL FaM 子連れオフィス(千葉県) | 商店街空き店舗→90 ㎡ | 1,200万円 | 時間貸し・託児付き | 約420万円 | キッズスペース併設で平日日中をフル活用 (j-akiya.jp) |
古民家なかむら Co‑Work(岐阜県) | 築150年古民家→220 ㎡ | 2,600万円 | 会員制 1万5千円/月 | 約520万円 | 歴史的外観と最新ICTのギャップが話題 (socialinterior.com) |
注目点
- いずれも「地域コミュニティと接点をつくる仕掛け」を導入し、利用者が単なるオフィス以上の価値を感じる設計にしている。
- 改修費の 30〜60 % を自治体補助で賄った例が多い。
3. 初期費用と回収シミュレーション

モデルケース:延床100 ㎡の木造空き家を10席+会議室1のコワーキングへ改修
区分 | 金額 | 備考 |
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構造補強・断熱・内装 | 800 万円 | スケルトン+断熱等級4 |
設備(Wi‑Fi、空調、照明) | 220 万円 | PoE配線+全LED |
家具・什器 | 160 万円 | デスク10・会議セット・キッチン |
許認可・消防 | 60 万円 | 事務所用途変更 |
総投資 | 1,240 万円 | — |
収益想定
料金プラン | 単価 | 稼働前提 | 年売上 |
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固定席(6席) | 18,000円/月 | 通年満席 | 129.6万円 |
フリー席(4席) | 12,000円/月 | 稼働80 % | 46.1万円 |
ドロップイン | 700円/時 | 2席×5h×月20日 | 16.8万円 |
会議室 | 2,000円/時 | 月40h | 9.6万円 |
年商 | — | — | 202万円 |
- 運営コスト(光熱+人件費+保守)を 年85万円 とすると 粗利117万円。
- 自己資金300万円+補助金500万円(補助率2/3 上限2,000万円)を活用し、残額440万円を5年リース(年率2 %)で賄えば、実質回収は約4.1年 で黒字転換となる計算。(e-sales.jp)
4. 使える補助金・支援制度

活用のコツ
- 相談窓口は自治体の移住・企業誘致担当が最短ルート。書式を流用できるサンプルを持っていることが多い。
- 交付決定前に着工すると補助対象外になるため、工程表と交付スケジュールを必ず突き合わせる。
5. リノベ計画を成功させるチェックリスト
フェーズ | チェック項目 | 見落とすと… |
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物件選定 | 都市計画用途・接道 4m以上か | 用途変更不可/消防NG |
設計 | テレワークに必要なWi‑Fi強度と電源数 | クレーム・滞在時間短縮 |
改修 | 断熱&防音を同時施工(床・壁) | 冷暖房費増/騒音トラブル |
近隣調整 | 駐車場・ゴミ収集ルール明示 | 苦情→営業停止 |
運営 | 予約・鍵・決済を完全オンライン化 | 無人運営コスト増 |
まとめ
- リモートワーク需要の定着で、空き家を小規模オフィス化する副業モデルが成長中。
- 徳島・千葉・岐阜などで成功する共通点は「地域コミュニティと掛け算」「補助金で初期投資を半減」。
- 改修費1,200万円級でも補助+融資を組み合わせれば約4年で回収できる現実的ビジネス。
- 法規・ICT・近隣対策の3点を押さえて、空き家を“収益を生むワークプレイス”へ生まれ変わらせよう。
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